インタビュー ナースマネージャー 綾部さん
生命に関わる患者様を
受け持つ重圧もありますが、
それを上回るやりがいが
救急看護にはあります
経歴と資格
救急看護歴17年(看護歴17年)、【看護師以外の所有資格】保健師
救急看護師になろうと思ったきっかけを教えてください。
看護師だった祖母が白衣を着て颯爽と働いている姿を見て、子ども心にかっこいいなと憧れていました。憧れが具体的な目標になったのは高校生の時。湾岸戦争が起き、その惨状を目の当たりにして友人と将来について話し合った時、『誰かを守れる仕事に就きたい』という気持ちが湧きあがり、看護師を目指すことにしたのです。大学の看護学部を卒業後、97年に現在の病院に入職し、同年に開設された救命救急センターに配属されました。
実際に救急看護の現場で働いて、ギャップはありましたか?
看護師にありがちな“白衣の天使”というイメージに気恥ずかしさを感じていたこともあり(笑)、戦場のように忙しい救急の現場はとても新鮮に感じられました。とはいえ実際は、重症の患者様を受け持つことへのプレッシャーが重くのしかかり、最初の数年間は無我夢中でした。入職以来、救急看護の分野一筋で17年務めてきた今でも、自分が一人前になれたと思うことはあまりありません。日々、反省と勉強の繰り返しです。
救急看護師として働く上で大切なことは何だと思いますか?
瞬時の判断力や決断力、体力が重要なのはもちろんですが、私はそれらに加えて広い視野を持ち、物事を冷静に分析・対処できる能力が必要だと思います。また、救急看護の分野では、救命救急センターのスタッフだけでなく他の専門外来のスタッフや患者様のご家族とも短時間で信頼関係を築かなければならないため、コミュニケーション能力や人間力も求められます。それには職場の雰囲気も影響しますので、笑顔を絶やさず周囲のスタッフが相談しやすい環境作りを心がけています。
救急看護のやりがいはどんなところですか?
看護師としての自らのスキルアップの機会がたくさんあるところです。よりよい看護を提供するためには、つねに学び続ける姿勢が欠かせません。トリアージや災害医療の知識に加え、小児患者が搬送されるケースも増えていますので、PALS(小児二次救命処置法)や外傷についても理解していなければいけません。私は日本救急看護学会のセミナー等に積極的に参加して情報を収集しています。そうして得た専門職としての知識や技術を現場で実践することができ、それが患者様の回復につながることが最大の魅力だと思います。
救急看護師を目指している人へメッセージをお願いします。
私たち看護師は人と接する仕事です。特に救急看護の現場では患者様やそのご家族はもちろん、他の専門外来のスタッフなど多くの人と関わることになります。そうした人との出会いに感謝し、失敗したり注意されたりしてもそれを成長の機会ととらえて素直に受け止めることが大切です。そして学んだ知識や技術を今度は自分が患者様や周囲の人にお返しするという姿勢をつねに忘れずにいてほしいと思います。
(2015年3月時点の情報です。)
私のこだわり
「遺されたご家族へのお手紙」
大切な方を突然亡くされたご家族への、心理・社会的サポートへの取り組みを救命救急センター全体で行っています。お看取りした際にお手紙をお渡しして、必要があれば院内のソーシャルワーカーや礼拝堂の牧師を紹介させていただいています。この取り組みを学会で報告したところ、他の病院や施設からお問い合わせをいただくことが増えました。